伊豆の国市の韮山反射炉が7月5日、ついに世界遺産に登録されました。
「明治日本の産業革命遺産・製鉄、製鋼、造船、石炭産業」は福岡など九州の5県と山口、岩手、静岡の8県にまたがる23資産群で構成されます。
反射炉とは金属を溶かし大砲を鋳造する「炉」で、日本で現存するのはこの韮山反射炉のみです。
幕末期の代官、江川英龍(坦庵)が手がけ、後を継いだ子の英敏が完成させました。
銑鉄(せんてつ・・・砂鉄や鉄鉱石から作った粗製の鉄で不純物を多く含む)を溶かして優良な鉄を作るには千数百度の高温が必要ですが、反射炉は溶解室の天井部分がドーム型になっており、そこに炎や熱を反射させ、銑鉄に集中させることでその高温を実現する構造となっています。
英龍は竣工を見ることなく病死してしまいましたが、その後、英敏が佐賀藩の助力を得て3年半の歳月をかけ、1857年完成となり、1864年に幕府直営反射炉としての役割を終えるまでに鉄製18ポンドカノン砲や青銅製野戦砲など西洋式大砲が鋳造されました。
世界遺産に登録されたこの機会にぜひ見学されてはいかがでしょう。
フロント 江藤